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アンナ・シセ / "BUT BEATIFUL" [jazz / Female Vocal]

Anna Sise.jpg

Artist : Anna Sise
Title : "BUT BEATIFUL"
Release : 2007
Style : jazz (female Vocal)
jazzっぽさ・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ


 マルガリータ・ベンクトソンに始まったSpice of Lifeの“SWEDISH BEAUTY”シリーズの第4弾。今度は舞台女優やモデルとしても活躍している“褐色のソングバード(帯コピーより引用)”、アンナ・シセのデビュー・アルバムだ。同社の良質かつ品の良い美人歌手戦略にまんまと乗せられている僕だけど(苦笑)、それでもやっぱりただ単に美人がジャズを歌ってれば何でもOKってもんじゃなし。ちゃんと試聴もして、内容を確認してから買ってくるワケなんだけど、少なくともこのアンナに関しては美人女優とかモデルだなんて肩書きが逆に足を引っ張るんじゃないの?とつい心配になってしまったほど、真正面を見据えてマジメに作られている作品だった。その歌声も僕の思うところ、カサンドラ・ウィルソンを軽やかに親しみやすくしたような正統派のハスキー系ヴォイスで、舞台でしっかり鍛えられているだけあって、声量も歌の表情もとても豊かな歌い手なのだ。これはなかなかに侮れない、ちゃんとしたジャズ・ヴォーカル・アルバム。全編に亘りサポートするピアノのヤン・ラングレン始め、スウェーデンのジャズ・メン達による安定感溢れる演奏もとても心地良い好盤だ。




 さて、楽曲に行く前に、今作が日本デビュー作のヴォーカリストなのでバイオ的な事項も簡単に見ておこう。

 アンナは父が西アフリカのガンビア共和国の出身で母がスウェーデン人。生まれ育ったのはスウェーデンのマルメフース州マルメという街で、両親は全く音楽芸術とは関係のない職業という家庭環境だった。ビリー・ホリディ、ニーナ・シモン、ボブ・マーリー、マービン・ゲイらを聴いて育ち、影響を受けたアーティストは彼等の他にレイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、ナンシー・ウィルソン、チャカ・カーンら。94年より映画演劇関係の世界に入り、翌年から本格的に女優業を開始。ほどなく歌も歌い始め98年頃より歌手兼業となる。99年には「ルーファス&チャカ・カーン・トリビュート」のプロジェクトでも歌っているのだという。01年からは主演したTV番組がロング・ラン・ヒットし、本国スウェーデンではかなり著名な女優さんなんだとか。平行して本作でも共演のベーシスト、パトリック・ブーマンとのレコーディングやヤン・ラングレンとのツアーを行うなどジャズ・ヴォーカリストとしての仕事もこなしている(※要旨、成田正氏著のアルバム・ライナー・ノーツより)。



 
 以下は楽曲に沿って内容紹介。
 
 豪華なストリングスとホーンをフィーチャーした①は、冒頭フュージョン/コンテンポラリ風に始まるも、途中で巧みなリズムチェンジを挟んでジャズ・ファンも納得の出来映え。このアレンジはお洒落でカッコい~いねぇ!。アンナの歌声はオープニングに相応しい伸びやかなもの。それに寄り添う様なペーター・アプスランドの朗々としたトランペットの音色もすこぶる気持ち好い。

 ①でコンテンポラリ系の味付けのアルバムなのかな?と思わせつつ、タイトル・チューン②はしっとりとゴージャスなストリングス・アレンジ。歌い馴れているのか?かなりリラックスしたヴォーカル。その余裕ある歌い回しに僕はナンシー・ウィルソンを思い出す。カール・マーティン・アーンクヴィストなるサックス吹きの艶やかなテナー・ソロも◎。

 ③はフォーキーにスチール弦ギターが鳴り響くボブ・デュランのナンバー。ここでのヴォーカルが僕にカサンドラ・ウィルソンを思い出させる、深くタメの効いた歌い回し。最近のカサンドラはディープでちょっと重たいけど、アンナのそれは前述の様にもう少し軽快で親しみやすいもの。

 お次④はぐっとテンポを落として囁く様に、溜息の様な“Bye Bye Brackbird”。ワン・コーラス歌い終えてトランペット・ソロからは軽快にテンポ・アップ。それを今度はヤン・ラングレンのピアノ・ソロが引き継ぐ。リズムの変化による歌の前後半のイメージの変化が楽しい。前半の溜息混じりから、吹っ切れたかの様な後半の表情はあまりに前向きなBye Byeになっているから、ちょっぴりコミカルな舞台を見せられているかの様にも思える。

 グイグイと引っ張られる様なビック・バンド・サウンドが格好良い⑤は3分に満たない、短く簡潔なアレンジなれど、明朗で伸びやかかつ歯切れの良いアンナの歌声と合わせて、本アルバムでの僕の一番のお気に入りチューン。

 ⑥本作唯一の母国語ナンバーでスウェーデン人ピアニストで作曲家のポヴェル・ラメルの作品。普段全く聞きつけないスウェーデン語の語感はちょっぴり巻き舌っぽくも聞こえる部分もあってなんとなくシャンソン的にも感じられるし、時にそのメロディーは中村八大の“黄昏のビギン”にも通じているようにも思える。日本人と北欧人には、ともに哀感を含んだ叙情的なメロディーが好まれるんだと以前何かで読んだことがあったけど、確かに共通するものが在るのかもね~と実感。

 ⑦は⑤のイメージと同様にビック・バンド・スタイルによる爽快感溢れるアップ・テンポ。

 ⑧を聴いて、これはジョニ・ミッチェル?と思ってライナーを見てみれば、なんと作者はjoniの昔のオトコ、レナード・コーエン。これは僕だけが感じたことじゃないらしく、ライナー・ノーツで解説のご担当、成田正さんの文章にもジョニ風だとある。そう思って改めて聴くと、最近の枯れてるジョニの声とアンナのハスキー・ヴォイスは少々似てる部分もあるかもね。

 ⑨30年代ミュージカル・ナンバーからのチョイス。アンナはバラッドを甘くしっとり聴かせるよりも、今作に於いては、歯切れの良く朗々としたナンバーとして歌うのがお好みだった様で、これも⑤、⑦同様ビック・バンドの勢いに乗った、闊達な歌いっぷり。

 ⑩プロフィールに年齢の記載がないのでアンナが幾つなのかは分からねど、30代前半くらいなのかな?。いずれにしろ、まだ落ち着く様な歳じゃないんだろうけど、「若い時には解らなかった愛の価値も、2度目ならちゃんと見えて来るものよ」などと落ち着き払った歌声で語られると、みょ~に気持ちにしっくり来るのは、聴いてるボクがもう若くないからでしょうかね?(苦笑)。

 ⑪アルバムの最後はヤン・ラングレンのピアノをたっぷりフィーチャーしたトリオ演奏。これも本来は別れの曲でありながら割合とカラっと歌われることの多い曲だけに、アンナのヴォーカルはここでも伸びやかにドライヴ。ブルージーでラフなイメージを持たせることで開放感もたっぷり。ステージで云うなら、丁度前曲⑩でステージを締めて、この曲はリラックスしたアンコール・ナンバーの様なイメージだ。 





 アルバム全編を通した感想としては、ビジュアルのファッション性先行に反して、ストレートに丁寧に歌われ制作されたことが聴き手に伝わる、非常に好感の持てる作品だということ。女優だけあって感情表現は豊かだけど、妙に芝居掛かった大袈裟な歌い回しやフェイクなどテクニックに走るふうでもなく。まぁ、①のアレンジが面白かっただけに、ちょっとしたモダンな変化球にも期待してしまった割には以降は直球勝負ばかりなので、やや生真面目すぎる様な印象が無いワケじゃない(そんな意味でお気に入り度数は×3とやや辛め)けど、デビュー作にしては上々だろう。しっとり甘くバラッドを歌い上げる歌手はそれこそ掃いて捨てるくらいにたくさんいるけど、アンナのようにアップ・テンポを多めに採り上げ、それを爽やかに明るく歌い上げる女性ジャズ歌手は昨今意外に少ないものなのだ。次作がどんな方向へ進んでいくか、今から楽しみでもある。




バット・ビューティフルバット・ビューティフル
(2007/10/31)
アンナ・シセ

商品詳細を見る


試聴はこちらから→http://www.spiceoflife.co.jp/sb_cd04_l.html

01. A Nightingale Sang In Berkeley Square
02. But Beautiful
03. It Ain´t Me Babe
04. Bye Bye Blackbird
05. All The Things You Are
06. Visan Om Mina Vanner
07. It´s Alright With Me
08. Suzanne
09. That Old Feeling
10. Second Time Around
11. I´ll Never Be The Same

■Musicians
Hector Bingert : flute
Peter Asuplund : trumpet
Patrik Skogh : trumpet
Olle Holmqvist : trombone
Johan Horlen : tenor saxophone
Karl-Martin Almqvist : tenor sax, alto flute
Fredrik Lindberg : baryton saxphone, clarinett
Max Schutz : guitar
Jan Lundgren : piano
Ptrik Boman : cotra bass
Marcus Lewin : drums




本作サポート・アーティストの作品

イン・ニューヨークイン・ニューヨーク
(2006/04/21)
ヤン・ラングレン

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