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アマンダ・ブレッカー / "HERE I AM" [Adult Contemporary]

Amanda Brecker.jpg
Artist : Amanda Brecker
Title : "HERE I AM"
Release : 2008
Style : Adult Contemporary (female Vocal)
jazzっぽさ・・・★☆☆☆☆ (1/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ

 さてさて、未だ少女のようなあどけなさも残る、この麗しき横顔をした美女は一体誰でしょう・・・って、彼女の“ブレッカー”と云う姓に気が付いてしまったら、ジャズが好きな方にはすぐにもピン[ひらめき]と来るでしょう。かつて、弟マイケル(故人)と組んだブレッカー・ブラザースでシーンにその名を轟かせ、永くNYのファースト・コール・トランペッターに君臨したランディ・ブレッカーとジャズ・ピアニストとして、そして最近ではボサノヴァ・シンガーとしても高い人気を誇るイリアーヌ・イリアス(※1)が「かつて」夫婦であったことはジャズ・ファンには広く知られるところですが、今回ご紹介するアマンダ・ブレッカーはその二人の一粒種。もうこんなに大きくなっちゃったんだ~(びっくり)[あせあせ(飛び散る汗)]





 僕が驚いてしまっているのには、それなりにワケがあるのです。だって、かれこれ23年前、アマンダが生まれて1年目くらいから僕は彼女の名前を知っていたのですから。・・・と云っても、僕だけが特別にその存在を知っていたワケじゃありませんよ(^^ゞ。

 事の次第はこんな感じです。
 アマンダの両親であるイリアーヌとランディは、ヴィブラフォン奏者マイク・マイニエリをリーダーとして、ブレッカー兄弟らニューヨークのスタジオ・シーンで活躍する卓越した精鋭ミュージシャンばかりを集めて結成されたグループ、STEPS AHEADにイリアーヌが参加したことがきっかけで出逢います。若くて美人のイリアーヌにランディはたちまちメロメロとなり猛アタック(笑)。出逢いから僅か1年後の1983年に二人は結婚します。この辺りのお話は、以前にもイリアーヌを取り上げた時に触れていますので、ここでは以下略。(参照→ http://la-musica-jazzpoino.blog.so-net.ne.jp/2005-02-18

 アマンダは両親が結婚した翌年の1984年にこの世に生を受けます。長女の誕生を殊の外喜んだランディとイリアーヌは、その感激を作品にして残そうと、二人の名義でアルバムを制作することを思いつき、出来上がった作品のタイトルに、この愛娘の名前をそのまま付けてリリースしたのです。

 で、僕はこの話を、当時たまたま聴いていたFMラジオか何か(記憶定かではありませんが、渡辺香津美さんの番組だったかなぁ・・・)で知ったわけ。

RandE_Amand1985a.jpg

 こちらがその1985年作のアルバム、『AMANDA』

 残念ながら現在は廃盤のようですが、ランディの洗練されたニューヨーク・スタイルとイリアーヌの持って生まれたブラジル・テイストが絶妙にブレンドされて誕生したそのハイブリッドなサウンドは、今耳にしても充分な新鮮さを保っています。複雑なブラジリアン・リズムを採り入れ、テクニカルなインター・プレイを展開しつつも、メロディーはキャッチーで、どこかしら温かみと親しさを感じさせるもの。二人の喜びを十分に感じさせる、とてもブライトな印象の作品でした。ちなみに、この時イリアーヌは24歳くらい。あの時代らしい目元のきついメイクのせいか、随分と実年齢以上に見えますね。

 その後、ランディとイリアーヌは離婚してしまい、アマンダは母イリアーヌの下で育てられることになります。売れっ子ジャズ・ピアニストとしてレコーディングやコンサートで世界中を駆け巡る日々。多忙を理由にして、どうしてもアマンダはベビー・シッターに預けっぱなしになりがちでした。しかし、イリアーヌはある日思い立ちます。これではいけない。たとえ大変であっても、親子はもっと一緒に時間を過ごさなければ!と。以降、彼女は幼いアマンダをスタジオに同伴するようになり、アマンダにとってスタジオは、ごく日常的な場と化して行きます。だって、時にはアマンダ用にベッドまでがスタジオ内に用意されていたんだそうですから(^^。

 そう。アマンダは物心ついた時から、ずっとスタジオの中、超一流のミュージシャンやスタッフたちに囲まれて成長していったのです。彼女の周りには音楽が在って当たり前。殊ジャズに限れば、世界最高峰のレベルにあるアーティスト達の奏でるサウンドに接しながら毎日を過ごしてきたのですから、歌を歌ったり、音楽を生み出すことに興味を持つようになったのも、ごく自然な事だったのでしょう。

Amanda_Age8.jpg

 そんなわけで、彼女の初レコーディングの機会も、僅か8歳(※2)にして到来します。

 それはイリアーヌのアルバム、『FANTASIA』(1992)でのことでした。ここでアマンダは母の母国の大スター、ミルトン・ナシメントのナンバーに挑んでいます。イリアーヌの寄り添うピアノに合わせて、愛らしく朗らかに歌い上げるアマンダのパフォーマンスは、きっと誰もが微笑まずにはいられないものの筈。それをナシメント・メドレーで引き継ぐ母のピアノの音色が、これまた素晴らしく輝いていて、温かで、優しいのです。この娘ちゃん(アマンダ)はこの先もママの大きな愛に包まれて育ち、将来はきっとイリアーヌのような素敵なヴォーカリストになるだろうって思った人は、きっと僕だけじゃなかったと思いますよ。ただ、もうちょっとパパにじゃなく、ママに似てたら、もっと良かったのにねぇ・・・、なんて思いつつ(^^;。




 さて、アマンダのデビュー・アルバムの気になる内容ですが、一言で云えばノラ・ジョーンズ以降の主流となった感のあるカントリー、ジャズ、そして彼女の場合は当然にブラジリアンなど、多様な音楽の複合的影響下にあるSSW系ポップスと云ったところでしょうか。実際にオープニング①はそのノラのカヴァーです。アマンダ自身、ノラの歌が好きで、普段からよく聴いているのだとか。

②はポルトガル語で歌われるアマンダのオリジナル。ブラジルのシンガーではイヴァン・リンスが好きと云うアマンダの歌唱は、囁くようなノン・ビブラートのボサノヴァ・スタイルではなく、楽曲もBPM的です。イリアーヌとランディがそれぞれゲスト演奏しているのも聴き処。なおこの曲は現在TV東京系列で放映されている「美の巨人たち」のエンディング・テーマにてオン・エア中。

③もアマンダのオリジナルで、お年頃のオンナノコらしいほろ苦い失恋ソングをバラッドで。

④は新進の人気SSW、ジョン・メイヤーのヒット・ナンバーをレゲエ・タッチでカヴァー・・・って、僕はロック、ポップス系の歌手は恥ずかしながら、とんと知らないので・・・(^^ゞ。ただ、全米18位まで上ったヒット・ナンバーとのこと、さすがにキャッチーで耳馴染みが良いですね。ジャズ系ではあまり使われない軽くエフェクトの掛かったコーラスなど王道ポップス風ではありますが、これはこれで楽しい出来。

⑤はボニー・レイットが歌ってヒットさせたナンバーではありますが、僕にとってはケヴィン・マホガニーのディープなバリトン・ボイス、もしくはナンシー・ウイルソンの素晴らしい表現力を思い出さずにはいられない切ないバラッド。アマンダのヴァージョンは前述の二人のドラマティックな歌唱とは趣を異にして、澄んだ歌声でやや感情を抑えた語り口。

乾いた音色のギターがリードする⑥は再びアマンダのオリジナルにして本アルバムのタイトル・チューン。曲のムード、作りに、何となくビル・ラバウンティの名曲“LIVIN' IT UP”を思わせる雰囲気があって、AOR好きの僕には好印象。

⑦も引き続きオリジナルで、ブルージーなムードで展開される甘いラブ・ソング。父ランディがフリューゲルホーンにて再びソロを執ります。この曲に限らずですが、アマンダは声質が優しく素直なので、コーラスで二声を重ねると、とても耳に心地良く響きます。

⑧はお馴染みヒューイ・ルイス83年のヒット曲のカヴァー。奇しくも(?)アマンダの両親が結婚した頃流行っていた曲ですね。因みにその時のイリアーヌは、今のアマンダとほぼ同じ年齢です。

⑨アマンダより少し年上世代の米国女性SSW、ケリ・ノーブルのカヴァー。恋の始まりを歌った軽やかな曲調がアマンダの声質にマッチしていて、とても良い仕上がり。ただ、アレンジがさっぱりし過ぎで演奏時間も短いし、もうひとヒネリ入れても良かったかもネ。・・・なーんて意見を口にしちゃうのは、ジャズ系音楽が好きな人間からの一方通行的意見かな(^^;。

お次⑩は本作最後のアマンダ・オリジナル。バラッドにてのスイート・ラブ・ソング。本作では彼女自身は一切演奏していませんが、本来はピアノを演奏しながら歌うスタイルなんだそうで、この曲もきっとデモ段階では弾き語りで作られていたんだろうなと想像させます。インタビューに依ると、ライブではピアノ弾き語りコーナーを設けたいと話してるようですから、この曲はそんな対象になる1曲かも知れません。

⑪はポップスに疎い僕でもCMでもお馴染み。軽快で前向きで聴いていて楽しい・・・んだけど、あまりにポップ過ぎやしませんか?(苦笑)。

アルバムのラスト、⑫は本作プロデューサー、デイヴィッド・マシューズが作曲、彼の奥さんが作詞を担当した、良い意味で古風なポップ・ソング。もっとカントリー風な処理を施したら、70年代にカレン・カーペンターやオリビア・ニュートンジョンが歌っていても似合いそう。イリアーヌがこんな100%ポップス調の曲にピアノ・ソロを入れているのが、彼女のファンにはなんとも不思議な気分にさせるかも(笑)。




 ここで聴く事が出来るのは、23、4歳とお年頃の女の子の歌の世界。アマンダは変に背伸びもせず、等身大の自分たちの世代の恋の心情をストレートに歌っています。聴く前には、デヴィッド・マシューズがプロデュースを担当しているので、もう少しジャズ的要素の色が濃い作品を想像していたのですが、マシューズさんは元々構成や楽譜をきっちり大事にして、素材を無暗にいじくり回さないタイプの音楽家。おそらくはアマンダの作ったデモなどの雰囲気を尊重したアレンジを心掛けたのでしょうね。

 僕等のような世代で、ジャズ系音楽が好きな者にしてみれば、ここでの選曲のセンスやアレンジには、もうちょっとばかりヒネリが物足りないと感じる部分もあるにはあるけど、アマンダが聴かせる対象として頭に置いているのは、おそらくは同世代で、ノラ・ジョーンズなどに共感出来るリスナーなんでしょうね。このアルバムを買う人には、きっと、僕と同じく彼女の両親のファンも多く含まれちゃうとは思うけど、彼女には彼女の別の世界があるのです。これをジャズがどうのこうのと云って聴く方が間違っているのですよ。くれぐれも、イリアーヌの娘とか、ブレッカーと云う苗字だけで買ってはダメですからね(笑)。

 歌われる詞の世界があまりにオトメ過ぎてなぁ~とは思いつつ(=要は僕が随分トシを食っただけ・・・苦笑)、その素直で伸びやかなヴォーカルを聴いていると、無条件に応援したくなってしまうのも、また事実。でも、そのウチいつかは、もうちょっとジャズっぽいアマンダも聴いてみたいもんですね。


 最後に、文中、パパじゃなくってもう少しママに似たら・・・なんてイジワルを書きましたが、時を経て、アマンダはこんなにも↓美しいお嬢さんになりました。そう云えばブレッカー家だって、マイケルの若い頃はかなりのハンサムだったもんね。何はともあれ、よかったよかった[わーい(嬉しい顔)]


Amanda Brecker.jpg



(※1) ・・・過去には英語音読で“イライアス”と日本語表記されていましたが、最近のオフィシャルな表記は“イリアス”で統一されているようです。

(※2) ・・・アマンダ自身はこのレコーディングを6歳の頃だったとインタビューにて発言していますが、『FANTASIA』に記載されたレコーディング日はリリースと同じ1992年と記されています。92年に6歳だとアマンダは86年生まれとなり、両親のアルバム『AMANDA』と前後してしまう矛盾が生じますので、ここでは誕生を84年、リリ-スの92年までをそのまま数えて8年目としてあります。


ヒア・アイ・アム

ヒア・アイ・アム

  • アーティスト: ロス・トラウト,マイク・リシューティ,ゼブ・カッツ,レイ・マチーカ
  • 出版社/メーカー: 3d system(DDD)(M)
  • 発売日: 2008/07/23
  • メディア: CD


01. Sunrise : Lee Alexander and Nolah Jones
02. Novo Lugar : Amanda Brecker
03. Wasted Time : Amanda Brecker
04. Your Body Is A Wonderland : John Mayer
05. I Can't Make You Love Me : Mike Reid and Allen Shamblin
06. Here I Am : Amanda Brecker
07. Is It Possible : Amanda Brecker
08. If This Is It : John Colla and Huey Lewis
09. Talk To Me : Keri Noble
10. Thinking Of You : Amanda Brecker
11. Up! : Regina Lange and John Lange
12. Lovetalk : David Matthews and Mattie Matthews

■Musicians
Amanda Brecker : (vo)
Ross Trout : (g)
Mike Ricchiuti : (p,key)
Zev Katz : (b)
Ray Marchica : (ds)

All aranged by David Matthews

Randy Brecker : (tp, flh) on 02&07
Eliane Elias : (p) on 02&12
Andy Snitzer : (sax) on01,04&08




[CD]

アマンダ

アマンダ

  • アーティスト: ランディ・ブレッカー,イリアーヌ・イリアス
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1996/07/19
  • メディア: CD



[CD]

Fantasia

Fantasia

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Blue Note
  • 発売日: 1992/09/22
  • メディア: CD



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