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GOODBYE HIRAM!!! / 悲報、ハイラム・ブロック逝く [Contemporary / Fusion]

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 日曜日の夜から、ずっと昔のVHSテープを探しているのだけど見つけられないでいる。随分長いこと見ていない一本のビデオ。たとえ見つかったとしても、もう経年劣化でまともに再生出来ないかも知れない。そこに映っているのは、かれこれ20年ほども前のデイヴィッド・サンボーンのライブ・ステージ。おそらくはライブ・アンダー・ザ・スカイで来日した折に収録され、TVで放映されたものだったろう。

 僕の記憶も既に曖昧なのだが、始まりのシーンだけは今も鮮明に覚えている。夕暮れを迎えたよみうりランドの屋外ステージ。ファンキーなシンセベース(多分リッキー・ピーターソンだったはず)のサウンドが単独で鳴り始めると、客席に背を向けた1人の男が踊り出す。リズムに合わせて左右の足を交互に後ろに蹴り出し、それぞれ反対の手の指先で軽やかに踵に触れるダンス・パフォーマンス。彼の出で立ちは、体にピッタリとしたレオタードのようなブルーのパンツにタンクトップ。そして、その腕にはワイルドに塗装のはがされたタバコサンバーストのストラトキャスターが抱かれている。豹のようにしなやかな筋肉を持つ褐色の肢体。なんてカッコのいいギタリストなんだろう!。

 これは88年リリースのサンボーンのアルバム『CLOSE-UP』のオープニング・ナンバー、マーカス・ミラーのペンからなる“SLAM”のイントロでのこと。TV番組ではあったけど、僕が動くハイラム・ブロックを見た、最初の機会だった。



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 僕が初めて買ったハイラムのソロ・アルバムは、このライブ・アンダー・ザ・スカイの前年、1987年作の『GIVE IT WHAT U GOT』だった。フュージョンにカテゴライズされるアーティストでありながら、ロックやファンク、ブルーズの要素が色濃く解け合う彼の音楽はまさに憧れのニューヨークの混沌。スピード感や表情の起伏に富み、なんとも痛快だった。うねるようなチョーキング&ビブラートを多用するソロ・フレイズ、パキパキと小気味良いサウンドのバッキング・ワークに加え、決して上手くはないけれど、独特の味わいのヴォーカル。ファンキーなハイラムの魅力を堪能出来るオープニング①、如何にもN.Y.のミュージシャンらしい都会的でクールな表情をみせるギター・インスト④、プリンスになんかにゃ負けないぜ!とばかりにアクセルべた踏み、豪快にスロットル全開でぶっ飛ばすHIPな②はもう最高!。かと思えば、なんとも切ない甘美なバラッド⑧ではソフト&メローにも聴かせてくれ、AOR的な魅力も呈示する。

 それぞれの曲の音楽性は一聴繋がりが無く、やんちゃで支離滅裂にも思えるのだが、トータルで俯瞰すると見事にアルバムとして完結していて、実はとても繊細に感情表現がコントロールされていることに気付かされる。これはきっと彼自身の人となりがこうなのかもしれないな、などと勝手な想像を巡らせたりもしたものだ。MAD DOGみたいに吼えまくってワルぶってるけど、ほんとは優しくて良いヤツなのかも、ってね。モチロン、僕はこの作品ですっかり彼のファンになった。

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 ハイラムの思い出は、なんと云ってもBlueNote-Tokyoでのライブ。98年頃からだと思うけど、年に1回ずつ、都合4回ほど観に出掛けた。梅雨時の6月にブッキングされることが多くて、僕が行った日は2度がひどい土砂降りだった記憶がある。レイラ(ハザウェイ)を連れて来てくれたこともあったよね。

 特に忘れられないのは、クラブ・スタイルのハコでの彼のライブに行ったことがある人なら、みんなが知ってる毎度お馴染みのあの“お行儀悪”(笑)。魂の異母兄弟(?)、24丁目バンドからの盟友、ベーシストのウィル・リーと2人で客席のテーブルを土足で走り回るパフォーマンスには驚くやら呆れるやら。まったくいい歳をして、しょうがないワルガキども(苦笑)。

 だいたいにして、スリムなウィルはともかく、その頃のハイラムはすっかりおデブ街道まっしぐら。毎度毎度、テーブルが倒れないよう必死に支えに走るBlueNoteのスタッフがなんとも気の毒だったなぁ(笑)。


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<写真左は1980年、24丁目バンド時代のハイラムとウィル・リー。右はスリムのスの字も無くなった(笑)2005年頃>

 すっかり体型の変わったハイラムは、仲良しの音楽ライター工藤由美さんから公然と「おデブ」と呼ばれるようになり、いつのまにか“いぢられキャラに”・・・(^^;。


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 そんな愛すべきギタリスト、1955年大阪生まれのニューヨーカー、ハイラム・ブロックが、去る7月25日、咽頭癌(または食道癌とも云われているが、29日現在まだ正式に発表されていないようだ)であっけなく急逝してしまった。ウソでしょ?、ハイラム!。とてもじゃないけど、僕には信じられない!!。

 まだ52歳の若さだと云うのに・・・・・・。


 終演後のBlueNoteのフロント・ロビー、柄にもなく列に並んでCDジャケットにサインを貰った。そう云えば、ハイラムにその時握手をしてもらったんだっけ。彼の手に触れ、その温もりを感じた記憶が甦った途端、どうにも云い表し様の無い淋しさと悲しみが込み上げて来た。

 ハイラム、安らかに眠り給え。そして、さよなら。




 後日、YOUTUBEに探しても探しても見つけられなかったそのVTRが「ハイラムを偲んで」とタイトルされUPされました。もう2度と見られないと諦めていたので、ひたすらありがたく嬉しいです。




Close-Up

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1994/12/26
  • メディア: CD



Give It What U Got

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 1987/11/04
  • メディア: CD



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