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ジョン・スコフィールド / "STILL WARM" ~ 『鯔背』 [Contemporary / Fusion]

Still Warm.jpg
Artist : John Scofield
Title : "STILL WARM"
Release : 1986
Style : Instrumental jazz / fusion (guitar)
jazz度数・・・★★★★☆ (4/5p)
お気に入り度数・・・※最高は5つ

 この1つ前に書いた記事に使った「いなせ」って言葉から、思い出した様に懐かしいこのアルバムを聴いてます。暗がりにまばゆく光るIbanez AR(それもロック式トレモロユニット搭載!・・・って、ホントに使ったコト有るの???)を持って凛々しくもレイ・カワクボ(コム・デ・ギャルソン)のスーツに身を包んだ、1986年のジョン・スコフィールドのグラマヴィジョン第2作『STILL WARM』。邦題が『鯔背』だったんですよね~。

※ジョン・スコフィールド / UNIVERSAL MUSIC web site
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/john_scofield/index.html





 このアルバムと前作の『ELECTRIC OUTLET』(1984)はリリースされた当時、本当によく聴きました。僕はやっぱりこの頃の、R&Bの匂いがするファンキーなジョン・スコが好きなんだな。
 当時ポピュラー・シーンで大ヒットしていたスティングのjazz傾倒作を支えた、彼お気に入りのリズム隊、オマー・ハキムダリル・ジョーンズのボトム・セットが冒頭からグイグイと攻め込んでくる、ハードボイルドなファンク・チューン①は今聴いてもめちゃかっこいい!!!。

 で、続く②のタイトル・チューンを聴いていたら随分と昔のコトをぼんやり思い出してしまいました。時をずっと刻み続けるかの様に終始打たれるカウントに乗せて、当時のジョン・スコにしてみれば随分と意外に思える程に聴きやすいポップなメロディーを持つこの曲が流れて来ると、どうしても或る曲のタイトルとともに、昔TVで見たそのシーンが頭の中に蘇って来るのです。


 僕がジョン・スコを聴くようになったのは、やっぱりイバニーズのカタログで名前を見掛けていたからなんですが、初めて動く彼を見た時の出来事はかなりショッキングでした。それは或る年のグラミー授賞式のこと。日本でもこの時の模様がTVで放映されたのですが、僕の記憶に留まっているのは帝王マイルス・デイヴィスの出演場面のみ。演奏曲はシンディー・ローパーの大ヒット曲“TIME AFTER TIME”です。

 この時、マイルスはトランペットでテーマを取りながら、いつもの不機嫌そうなしかめっ面で彼のバンドのギタリストに近づき、素人目にも判る目線や仕草で「違うだろ~、こーゆーニュアンスで弾けってんだろォ!」(ひくーい、ダミ声で読んでね)と、ステージ上で面罵せんばかりの怒りの(?)教育的指導を延々と行ったのです。いや、これには観ていた僕も本当にビックリ!。
 翌日学校へ行くと、普段jazzやFusionに関心のない友人達(高校生ね)もそのグラミー放送を多数見ていて、「下手だから?マイルスに怒られていた??ギタリスト」のことはしっかり話題になっていました。そう。この可哀想な(笑)ギタリストこそ、ジョン・スコフィールドその人だったのです。

 細かい事情なんて全く分からない思慮の浅い高校生たちがそう思ってしまったのも無理もありません。それくらい、マイルスの態度は威圧的でした。グラミーと云う、ショービズ界で生きる者にとってはまさに人生最高の晴れの舞台の上でのこの出来事ですから、その様はまるで、真面目に仕事してるのに暴君信長に家臣公衆の面前で罵倒され足蹴にされた明智光秀。あんなにも頑張ったあげく京都での家康饗応役を外され領地没収。果ては中国地方の「切り取り次第」を言い渡され、ついには信長を討つ光秀の無念と重ねてしまうのですよ、ワタクシは(って、なんか違う?・・・)。


 数日後、ひとりの同級生が、彼のjazz/fusion大好きギター弾き大学生だったおにいちゃんからひとつネタを仕込んできました。「あのギタリストはさ、jazz一筋の人で、jazzはめちゃくちゃ上手いんだけど、あんなポップスみたいな曲なんて全く弾いたことがないんだって。だから逆にカンタン過ぎて上手く弾けなかったらしいよ」だって。他の同級生一同「へ~、そーなんだ~」と深く納得・・・って今考えるとかなり眉唾なハナシですが(笑)、マイルスの要求するあの曲へのニュアンスのレベルがとても高くて、ジョン・スコがかなり苦労させられたというのは他でも後に聞いた話なので、あながち全部外れていたワケでも無いのかな~、同級生のお兄ちゃんの言ったコトも(笑)。


 その後も帝王と行動を共にしていたジョン・スコは、この『STILL WARM』をリリースし、マイルス・バンドも辞して独立するわけなんですが、「敵は本能寺に在り!」と彼が言ったか言わぬか(言うワケないだろ・・・<苦笑)、師匠マイルスに突きつけたこのアルバムは、エッジの効いた切れ味鋭いサウンド。タイトなリズムの上で縦横無尽にウネウネ(笑)と動き回る彼ならではの旋律は今も色褪せることなく、キーボードで参加のドン・グロルニックの都会的でクールな色つけも相まって、まさにこれこそ当時のNYを象徴するjazzサウンドと評しても過言ではない程の素晴らしいギター・アルバムに仕上がりました。
 そして注目すべきはそのタイトル・チューンの②“STILL WARM”
それはなんと、散々苦い思いをさせられた?あの“TIME AFTER TIME”をどことなく思わせる、いやむしろあの曲にインスパイアされたからこそ出来上がったのでは?と思わせる様な作風を持つ、ポップな(※あくまでジョンにしては、ですが)出来映えだったのです。
 マイルスから叩き込まれた、ジャズにおけるポップ・ミュージックの解釈や心得のその全てを絞り出すかの様にブルージーに、そしてメロディアスにギターを歌わせまくったジョンは、この曲を卒業課題としてマイルスに「提出」したのかも知れませんね。門下に厳しいマイルスも、さすがにこれには「優」を付けてジョンを送り出してあげたのでは?と、僕は勝手に思っているのですが、真相はどうだったのかなぁ~。20年近く時が経った今、どなたかあの頃のことを再びジョンに尋ねてみてはくれないかしらん。


Still Warm

Still Warm

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rykodisc
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


01.TECHNO
02.STILL WARM
03.HIGH AND MIGHTY
04.PROTOCOL
05.RULE OF THUMB
06.PICKS AND PANS
07.GIL B643

■Jhon Scofield (g), Don Grolnick (key), Darryl Jones (b), Omar Hakim (dr)
Produced by Steve Swalow 録音1985年10月


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